山 を 歩 く

 

 今年は2回も山を歩きました。ともに3000メーター級の山でした。一つは富士山、 もう一つは立山の雄山です。「登る」ではなく、「歩く」と書いたのは、先人が作った道を気楽に歩くだけだったからです。山頂まで道が続きますが、富士山は嵐の為、 又、雄山は時間切れで、ともに山頂にたどり着きませんでした。来年の目標とします。

 遠いところから眺めるときれいな富士山に対し、立山は近くに行けば行くほどきれいでした。そう、すばらしい紅葉が待っていたのです。美女平をケーブルカーで上がって、バスに乗り換え、七曲がり、弥陀ヶ原、天狗平、室堂、上に行くにつれ、だんだん紅葉が色づき、今まで見たことのない雄大な赤い絨毯を目の当たりにしました。その絨毯のなかに木で造った小道があり、それに沿って歩きました。映画のワンシーンの中にいるような気分です。このすばらしい山、実は半世紀前には女性がそれを楽しむことができませんでした。女人禁制だったのです。前夜旅館前の居酒屋で半世紀前に女性としてはじめて立山に登った女性に会いました。当時二十歳ぐらいだった乙女も、いまは76歳のおばあちゃんです。男女平等、人種平等、人権視点からみれば当たり前のことですが、いまだにそれが実現できない国があると思うと残念です。

 立山の近くに有名な神通川が流れています。今ではきれいな川になっていますが、約40年前に川の汚染からイタイイタイ病を発生し、何百人の住民を苦しめました。現代の都会の排気ガスや、産廃のダイオキシンなどを今のうちに有効な手段で抑えないと、 「クルシイクルシイ病?」が発生するかもしれません。立山では自家用車の乗り入れが禁止されています。やはりそこにいると空気がおいしい、景色がきれい、気分が最 高です。

 この自然をいつまでも守りたいものです。

 

                              2002年11月  

 

 

 

 

 

 

 

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